昨日、久々に近所の焼肉屋さんに行きました。
子供たちが肉好きなので、昨年まではよく行っていたのですが、母が病気になってから、母の食事は、野菜と果物、白身魚を中心とした魚介類、鳥のささみとムネ肉、などをメインとしていたので、子供たちも「今は、ばーばが食べられないから、治ったら行こう」と 言って、ずっと行っていなかったのです。
母がガンサバイバーとなってから1年が経過します。
腫瘍に圧迫されたことによる手の麻痺と、抗がん剤による副作用は残っているものの、病気自体は寛解ということで落ち着いているので、最近は、食事も元のように戻してもいいかな、なんて思っています。
母自身も「もうそんな長く生きなくていいから、好きなものを食べたい」と言っていることもあり、確かに、あまりガチガチに食事療法を強要するより、好きなものを食べて、気分良く過ごしてもらった方が、母も家族も幸せなのかもしれないなーとも考え始めました。
がんの治療については、標準治療を否定する医師もいる一方で、食事療法や他の代替治療の危険性を訴える医師もいます。
専門家の間でも意見が分かれてしまうことを、素人はどう判断すればよいのか、本当に難しい問題です。
↓↓↓これは、週刊新潮の2017年8月31日号掲載の記事です。つい先日妹が教えてくれました。
記事の中で取り上げられている本は、母がガンだと分かった時、ほぼすべて読んだものでした。妹にも押し付けて読ませたので、あれっ!? と思ったのでしょうか。
私自身は、標準治療せずに食事だけでがんを治す、ということについては、信じきれていませんが、標準治療で打撃を受けた身体の免疫力を回復させるために、食事を見直すということは、自然に受け入れられるため、食事療法をすごく押していました。
食事は誰でもするものなので、がんが消える、消えないに拘らず、普段から、身体に悪いものではなく、良いものを選ぶようにすることが、とても重要なのだろうと思っています。
でも、学術的にその効果が公表されている訳ではないので、食事療法ががんの有効治療かどうかは、本当のところ誰にもわからないのでしょう。
前述の週刊新潮の記事の内容でショックだったのは、
『食べものだけで余命3か月のガンが消えた』(高遠智子/幻冬舎)に書かれていた著者の経歴が嘘だった、という内容です。
私がこの本を読んだのは2018年4月ころですが、すでに、出版後話題になって直後から、「トンデモ本」と言われていたようですね。
週刊新潮の記事から引用すると
余命3カ月のがんを抱えながらパリの名門料理学校に入学し、4年間通って「フレンチガストロノミー上級ディプロマ」を取得。更に北京中医薬大学薬膳学専科に入学し「国際中医薬膳師免許」も取っています。それら「食」に関する経歴が当時、大々的に報じられました。そして「食べものだけでガンが消える」というタイトルを掲げ、料理教室やメディア出演、講演などを展開していたのです。
実際の患者さんにとって、疲れた身体を癒すために参考となるレシピもあるかもしれません。ただ、「がんが消える」という話になると医学的に真偽が疑われる記述が目立つのです。たとえば、最初に告げられた診断名は「スキルス性の卵巣ガン」で、後日見つかった肺転移は「スキルス性の腺がん」。ところが、そのような病名はいずれもありません。腎臓、脊髄、乳房、肺への全身転移で歩けない状況で、死を覚悟して車イスでパリに渡ります。そして、モンマルトルのマルシェで手に取った“トマト”をかじった時に次の出来事が。「唾液が湧いてきて、食と体と心の結びつきに目覚め」た。
なんとこのあとに「ガンが消えた」ことになっています。にもかかわらず、どのような食事で「ガンが消えた」のか、因果関係や具体的な病状が時系列として何も書かれていません。
そして彼女は、次回作にまたもや「ガン」を売り文句とした本を出版。その「あとがき」には目を疑う文言がありました。
「じつは、前著で、フレンチガストロノミー上級ディプロマと国際中医薬膳師免許を取得していると記述しましたが、この2つの資格を取得しておりません。この件で、多くの方に多大なるご迷惑をおかけしました」
ということです。
がんを患った人やその家族は、治すための方法を必死で探し、このような書籍を藁をもすがる気持ちで読んでいるのに、著者は、どのような意図で嘘の情報を書くのだろうと、虚しい気持ちになりました。